大崩山  約束の地「袖ダキ」

 昨年夏に行われた高校の同窓会にて、友人Kさんより「大崩山に連れて行ってくれ」と頼まれる。正直、私自身もここ25年ほど山から遠ざかり、日々の仕事にかまけて運動不足、メタボに片足を突っ込んだ状態、ましてや友人Kさんは私以上のメタボ、それまでの彼の印象から山登りには一番遠い存在の人、以前から腰の痛みがあり2年ほど前に手術を受けたほど、その時は、山に興味を持ってくれたことのうれしさが先に立ち、しばらく様子をみようということにした。
 
 Kさんの頼み事は私を山に引き戻してくれた。昨年の11月初旬、久しぶりに双石山に登ることとなる。その時のことはプログにて簡単に紹介している。その後機会あるごとに双石山に通うこととなる。そして今年の3月の同窓会花見の時に、「大崩山に行きたいのだったら、近場の双石山から始めようか」と提案する。そして5月の連休の時に一緒に双石山に登る約束をする。Kさん、約束の前日に、下見と称して一人で登る。その後機会あるごとに一緒に双石山に通うこととなる。

 そして大崩山登山の「約束の日」を11月初旬の日に決める、紅葉の時季でもあり、夏場のような暑さもなく、登山には絶好の季節、そして約束の日、順調に行動できたとしても大崩山での山中行動は一般的なコースで10時間ほどになる、双石山では山頂往復でも4時間程度、高さは双石山で509m、大崩山は1643m、大崩山の絶景ポイントである「袖ダキ」ですら標高1261m、登山口の標高が570mであり、袖ダキまでの標高差は691m、山頂までだと標高差1134m、とても山頂までは体力的に無理、目標はあくまでも「袖ダキ」、しかしKさんに渡した地図には、大崩山の最も人気の「わく塚〜小積ダキ」ルート、標高差は930m、可能であればぜひ廻りたい。

 11月3日、午前3時30分に宮崎市内のKさん宅を出発し、登山口到着は6時20分、準備後、予定通り6時30分に登山者名簿に記入して山に入る、林の中は少し暗く、持参したヘッドライトの明かりを頼りに一歩づつ慎重に進む。

 最初の目的地は山小屋、登山口からの所要時間は30分程度、祝子川沿いに林の中を歩く、15分ほど行くと、梯子の後にロープと続く難所を通過、その後も左側に流れる渓谷の水音を聞きながらひたすら進む。20分後に渓谷沿いに開けた場所あり、ここから小積ダキとわく塚岩峰が望める。7時前、朝日に輝く姿に感動する。小積ダキ上空には月、絵になる。

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 7時00分に山小屋に到着する、中に入ると囲炉裏に火、宿泊の登山者が2人、丁度朝食中、私たちもここで朝食をとる事にする。予定では登山口到着までの車中にておにぎりをいただく事になっていたが、途中のコンビニで購入したカフェオレのため、車中まったく食欲なし。登山口からの30分の行程、食欲を取り戻す。
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 山小屋北側には水場がある、大釜には、なみなみと山水が注ぎ込まれている。よく見ると缶ビールが4本ほど冷やしてある。下山後のビールなのか。水を手にすくい一口飲む、冷たい、美味しい、よし帰りに空っぽになった水筒に山水を入れ、自宅で美味しいコーヒーを入れてもらおう。
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 山小屋を出るとすぐに分岐点の案内板、三里河原方面と小積ダキ方面へと分かれる。三里河原の方へ進むとすぐにアセビのトンネルがむかえてくれる。以前も通ったこのトンネル「タイムトンネルだ」とkさん、中学生の時に夢中になったテレビ番組、年齢を感じる。
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 祝子川右岸をひたすら登る、途中小積ダキとわく塚岩峰を一望できるポイントあり、30代前後に登っていた頃必ず休憩した場所、登山道脇の岩に登り写真を撮る。以前からすると廻りの樹木が生長し眺めが制限されている。
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 登山道に2人の人がカメラをかまえている。「ここからの小積ダキとわく塚がすばらしい」と大きなカメラを構えている。のぞめる姿は樹々の間だが、確かにここも撮影ポイント、デジカメのシャッターを押す。
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 途中の難所の一つ、トラバース、太いロープあり、昔、下山中にここで数人の登山者が座っていた。「どうかしましたか」と声をかけると、「大丈夫ですよ」との返事、1人の人はヤッケを頭からすっぽりかぶっている。山小屋脇でテントの撤収をしていると先ほどの人たちとタンカに乗せられた人が下山していった。あとで知ることになるが、このトラパース地点で1人の人が滑って渓谷側に落ちたらしい。座っていたのは救助隊を待っていたのだ。一歩間違えれば、怪我、十分に気を付けねばならない。当時のことを思い出し、気を引き締め、友人Kさんにも注意をうながす。
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 分岐点到着、登山口より1時間ほど、ここで湧塚尾根をめざし、祝子川渓谷をわたる。まっすぐに進むと三里河原へのルートとなる。渓谷に降りると正面に今日の目的の地が見える。
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 徒渉点に降りる、今年春に訪れた時に架け替えられた橋がまた流されている。先行する登山者たちが渡れる場所を教えてくれる。岩から岩へ、最後には流木2本が架け渡された上を慎重に進む。白い花崗岩の岩岩、そして紅葉の樹々の向こうに大きな岩場を望む。
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         徒渉点から見る小積ダキとわく塚の連岩

 祝子川を渡ると小積谷に入る、午前8時頃、多くの登山者が朝食をとっている。kさんからあの木何の木と聞かれる。ヒメシャラの木、尾鈴山で大きなヒメシャラを目にするが、ここには大木ではないがたくさんある。小積谷では樹々の間に大小の岩そして、小さな滝が続く、とても気持ちのよい空間、思わず谷川の水を口に含む。昔、ここの紅葉に感動したことを思い出す。
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 徒渉点から15分ほど進んだ所にある岩屋、数人での宿泊が可能な場所、現在利用される方がどれほどいるか分からないが、突然の雨、雷の時には十分避難の場所になるのでは。
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 最初の岩屋から5分ほど進むと大きな岩屋に到着、力持ちのKさんにモデルになってもらい写真を撮る。
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 岩と岩の間(メタボ通行不可、二人ともかろうじてOK)を進む、ここから25分間の急登が続く。急な登山道のいたる所にケルンがある。この急登にケルンはいかがなものなのかと思いながら、ひたすら登る。足下の石や岩を落とさないように細心の注意が必要な場所だ、
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 小積谷をひたすら登ると不安定な梯子が出てくる、取り付けてある岩形状の関係か、上下での固定ができず、途中で梯子が動いてしまう。梯子を登り終えると、木の根をつかんでの急登がしばらく続き、思い出のロープが突然現れた。
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 袖ダキ取り付きの、2連ロープ(その先に感動の場所が)ロープの上から人の声が聞こえる。
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ロープを上がりきり、ブッシュを抜けると、そこには、先ほどまで見上げていた小積ダキが、正面に圧倒的なスケールで、その姿を現した。ここ一年間、度々インターネット上で見続けたその姿。私にとっては28年ぶりの場所。前回は友人KT君と私の奥さんと3人でこの場所に立った、その時はガスがかかり、まわりの景色はほとんど見えず、天候も良くなかったため、袖ダキで引き返した。
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         まずは友人Kさん(1年越しの約束の地)

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         そして私(28年ぶりの再会)

 Kさんが、前回私と登った友人KTさんへ電話をする。KTさん、数年前に心筋梗塞をおこす、対応が良かったため、現在は元気に働いているが、さすがに山に誘うのはためらってしまう。電話の中でKTさん「昨日、インターネットで袖ダキからの景色を見たところだった」とのこと、いつか一緒にこの景色を見る事ができればと願う。
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         袖ダキと小積ダキとの間の谷(のぞき込むには多少の勇気が)

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         袖ダキ近くの乳房岩の天辺に一人の登山者。

 実は袖ダキ到着は予定では9時10分だったが、実際は40分遅れとなった。Kさんとの「約束の地」はここで十分だと思ってはいたが、「どうする渡した地図のルートをまだ行く」と聞くと「行きたい」とのこと、進むのであれば下湧塚、中湧塚の尾根には上がらずに、湧塚尾根横のルートをトラバースして直接上湧塚に行かないと、予定の下山時間に間に合わないと説明する。

 袖ダキを一度降り今年夏に崩壊したガレバを登りきった時、突然私の太腿に違和感がある、ただし立ち止まってしばらくするとその違和感はなくなった。その後すぐにKさんより「太腿がつりそうだと」とのこと、登山道脇で、山の必需品(Kさん曰く)のクリームを塗る。私も勧められ、二人でスボンを下ろし太腿に塗る。なんとも滑稽な光景、もちろん他の登山者がいない事を確認して。

 クリームを塗った後はひんやりとして気持ちが良い。しばらく登ると、Kさんが立ち止まる、私「どうするね」Kさん「大丈夫」、しばらく進むが、Kさん足取りが重い。「あの先の尾根筋まで登って休憩しようか」、自然林の開けた場所でリックを下ろす、この場所、湧塚尾根の北側のため陽が射さず、少し肌寒い、しばらくの休憩のため防寒用のカッパを着る。お昼にはまだ早く、持参したチョコレートを食べる。「今日はここまでにしよう」このまま進めばまだ標高差250mほど登る事になり、最後は小積ダキから一番の難所である象岩トラバースそしてその後は、無数の梯子とロープによる下山が待ち受けている。登山口到着の16時30分から大幅に遅れる事になると説明する。ここで引き返すことにすると祝子川渓谷の徒渉点まで1時間、そしてそこから登山口まで50分、それも順調にいってのこと、途中の休憩を十分にとらなければいけない。下山開始、
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 下山を決め、再度袖ダキに上がり、昼食をとる。それにしてもすばらしい場所、大崩山のメインスポット、ここでゆっくりとした時間をとる。なんと贅沢なランチタイム、双石山の山小屋北側のテラスもすばらしいが、ここは格別。ここから紅葉を見つけては写真を撮る。ゆっくり、ゆっくりと下山する。
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         下山途中に小積谷で休憩

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         下山 祝子川渓谷の徒渉点

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         再び、アセビのトンネル

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         無事下山

 Kさんと、がっちり握手する。大崩山の一般ルートは完登できなかったが、約束の地の「袖ダキ」までは案内できた、そして何よりも無事に下山できた。(温泉に直行)
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 下山後、2人で温泉につかる、露天風呂からは大崩山が望める。それにしても大崩山は山深い。露天風呂で考える。自分は一般ルートを昔のように廻ることができるだろうか。当時の体重を考えると確実に10キロ以上はオーバーしている、そして年齢による体力の衰えも当然ある。一年間の双石山登山程度ではやはり無理なのでは、しかしもう一度、下わく塚から中わく塚の尾根に登り、そして上わく塚の天辺に登り、リンドウが丘から小積へのルート途中から見えるわく塚連岩を堪能したい。
 そのために取組まなければいけないことは、・・・・・・・ ・・・・まずは来年の春のアケボノツツジの時期を目標に努力することを、逆上せ気味のなか露天風呂で決める。


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by mutumi48 | 2012-11-04 17:31 | 大崩山・比叡山 | Trackback | Comments(0)

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