12月8日に行われた建築士会全国大会出席のため前日7日に出発する。朝一番の飛行機で大阪空港に、そしてリムジンバスにて京都駅に向かう。リムジンバスは移動が楽、特に大阪空港から各地へ移動する時にはたいへん便利である。
京都での宿泊は東本願寺近くの町屋をリノベーションした宿屋「ロマン館」、2階の6畳和室+ロフトの部屋に6人で泊まる。シャワー室、便所は6畳和室に直接面しており脱衣室・洗面室などは無く、一人で利用するのは良いが、グループでの利用はあまり勧められない。
今後、法改正により全国的に一般住宅での「民泊」が広がることが予想される。親戚、友達をもてなすように一般観光客を受け入れる家庭が出てくる。建物内容についても従来の宿泊施設ではなく、現在の自宅をどのように使えば良いのか大いに参考になる。
錦市場にて昼食後、京都在住の菅澤氏に連絡を入れ、知恩院山門にて待ち合わせる。知恩院では数年前より御影堂の改修が行われており、現在も仮設の素屋根がかけられ見学はできない。
知恩院の文化財担当者に同行していただき、経堂内部、山門の2階を案内していただく。施設の説明は京都府庁退官まで知恩院に関わっていた菅澤さん、改修の基本的な考え方、改修内容等について詳細に説明していただく。
夜は祇園小路にあるお茶屋「O」さんに行く。菅澤氏のお知り合いの鹿児島出身の芸子である佳つ江さんがいらっしゃる。同席者は菅澤氏、宮崎のメンバーが5名、菅澤氏のお知り合いの伝統建築物に関わる職人さん4名(瓦屋さん、表具屋さん、社寺内装の専門家、堂宮大工棟梁)、美術写真印刷の専門家、著名な寺院の事務長、職人さん達はいずれも国宝、重要建造物に関わっており、現在延岡市で進められている「職人塾」で講師を務めていただいている方達である。
お茶屋「O」は創業1901年の老舗、1階には会員制のお店、2階和室にて京都伝統文化の一端を堪能する。
二日目は、全国大会、場所は平安神宮近くの「みやこメッセ」、道路反対側には前川國男設計の旧京都会館の建物がある。午前中ヘリテージマネージャー大会に出席する。テーマは「歴史的建築物の活用による地域創生」事例報告として
・1 歴史的資源を活かした観光まちづくり(篠山モデル)について (一社)ノオト 金野幸雄氏
・2 KOMOの多様な人材による活動について KOMO代表 桐浴邦夫氏
・3 歴史的建築物活用と地域銀行融資について 奈良ヘリテージセンター 高安秀和
・4 兵庫における人材養成の新展開 ひょうごヘリテージ機構H2O 沢田伸氏
・別途活動として、熊本建築士会の山川満清氏による「熊本地震その後」というタイトルで報告がある。
大会後、協議会の運営委員長の後藤治氏に来年度宮崎で企画しているシンポジウムの基調講演について登壇をお願いし、熊本の山川氏には、今年県内ヘリテージマネージャー修了生に配布された熊本県内の地震で被災した登録有形文化財建造物の補修設計の参加要件について確認する。近々参加要件クリアーのための講座開設の案内を配布する予定との返事がある。
二日目の宿は美山町の道の駅近くの「山里旅館いそべ」三日目の目的地茅葺集落「美山町北集落」の手前6kほどの国道沿いにある。宿泊棟と別に二棟の茅葺建物を食堂にしている。この茅葺き建物は移築されたもの。
三日目朝は、昨夜からの雪も止み、山並の一部には青空も見える。美山の「かやぶきの里」は今年初雪の中、南国育ちの私にとっては別世界となっている。集落手前の道路沿いの駐車場に車を止め、徒歩で集落内に入っていく。手前には田んぼ、集落奥には里山があり、多くの人がイメージしている日本の原風景がある。ここの茅葺建物は「北山型民家」と呼ばれており入母屋造りを特徴の一部としている。集落内のほぼ8割が茅葺屋根となっており、茅葺戸数としては世界遺産の白川郷、2014年の福島大会にて宿泊した大内宿についで全国3番目となっている。
北集落内では丁度、小屋の屋根工事が行われており、小屋組の上では若い職人さん達が作業をしている、下には親方らしき方がいらっしゃり色々とお話を聞くことができた。この親方は地元出身で美山茅葺株式会社の社長の中野誠氏、現在40代後半とのこと、若くしてヨーロッパの茅葺民家に触発され、京都府現代の茅葺名工の元で修行をされ、生まれ故郷で独立された。現在たくさんの若き茅葺職人を束ねる親方として様々な取組を行われている。
中野氏は宮崎県建築士会で実施した第1期ヘリテージマネージャー養成講習会の中で前田豪氏が紹介していた方で、機会があればお会いしたいと思っていた。中野氏が茅葺職人として参加されたイギリスでのITS( International Thatching SocietyConference)内での日本の茅葺に対する評価、また私自身が経験した茅葺の軒付けについても話しそのことに対する考えを聞くこともできた。
今年度、行われた宮崎県総合博物館敷地内の椎葉の民家・米良の民家の屋根改修工事に関しての問い合わせもあったらしい。茅葺職人さんは今では貴重な存在、また全国的な指定文化財修復や古民家再生の取組などで忙しい。建築士会全国大会のエクスカーションの一部として美山北集落の見学ツアーが組まれており、この後大勢の建築士が訪れることになるので、中野氏はこの日仕事にならないのではと危惧しながら次の目的地である舞鶴に向かう。
知恩院山門にて

擬宝珠高欄親柱


「O」にて
このような席は初めてなので一概には言えないが、
座敷の使い方に違和感を感じる。





山里旅館いそべ

南丹市美山町北集落「茅葺の里」
重要伝統的建造物保存地区




【 集合写真 】
▼ 知恩院山門回廊にて 撮影 西尾氏 ▼

▼ 丹南美山北集落「かやぶきの里」 ▼
▼ 天橋立 ▼
▼ 伊根の舟屋(重要伝統的建造物保存地区)▼