メタボリズム 菊竹清訓

朝日ゼミナール第27回「現代建築の再構築」の記録より 菊竹清訓

メタボリズムというのは、これからのあるべき姿を具体的に形とか、空間とか、イメージでとかで提案するグループの名称である。

そして人間社会の環境変化を新陳代謝という形でただ眺めるのではなく、また、歴史的な自然のプロセスの一つとして受け入れるのでもなく、もしそういうプロセスがあるのであれば、もっと積極的にこれを促進させることによって、人間環境の形成を計っていこうという考え方である。

同じメタボリストの中でも各人が相当いろんな考え方を持ち、相互に意見の相違があってかならずしもすべてにわたって同じ立場、同じ方向に向かっているわけではない・・・・私の場合はメタボリズムの一番の中心的なテーマを「取替えシステム」であるとし、取替えセオリーの問題を中心に取り上げてきた・・・・

メタボリズムの理論と方法論は、ただあるだけでなく豊富な個性を表現するものであり、時間的経過の中で個性を支えるものであるという点を考えれば、ますます重要にアプローチである。・・・「個性のない多様性というものは盲目であり、多様性のない個性というものは空虚である」・・・・・多様な環境を選択的に選び、柔軟に改変できるという空間システムを持った構造、また時系列的に更新できるメタボリックなくうかんのストックとフローというものこそ、人間的環境のさいこうちくに非常に有効に役立つものである・・・・・

最後にゴールド・チャイルドという歴史家の言葉を引用したいと思いますが「人類の文明は、取替え装置を更新させることによって進展してきた」と・・・・私はさらに「より人間的な文明とするために、取替え装置を発展させ、更新がスムーズに行くように環境をつくるのが有効である」

【参考】
メタボリズム宣言は、1960年に国際デザイン会議が東京で開かれた際に出されたもの。

【下記・新建築12月臨時増刊 245頁より】
建築評論家
 川添登
建築家
 菊竹清訓  取替え(「主要な空間」と「従属的な空間」・「変わるもの」と「変わらないもの」)
 黒川紀章  動きと変化(メタモルフォーシス(共生)→シンピオシス)  
 大高正人  群造形(機械的なスペースと人間のスペース)
 槇文彦   群造形・「状態」の建設(エレメントとシステムの群の平衡 不特定目的空間)
デザイナー
 栄久庵憲司
 栗津潔
名誉会長
 浅田孝




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by mutumi48 | 2019-02-08 16:53 | 恩師考 | Trackback | Comments(0)

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