文化財建造物A邸 - 2 外壁崩落調査立会
2021年 01月 29日
A 調査方法について
・1 今回、正式に都城市より菅澤氏に調査依頼が行われ、崩落カ所及び取合いカ所で調査が必要と思われる部位確認のため外部足場が設置される。
・2 今回の確認対象となる左官壁及び雨樋について、より専門的調査を行うために左官、板金の職人が参加する。
・3 地元(HM)のスキルアップ、及び調査サポートを兼ねて参加する。
B 調査立会所見
・1 外壁について
崩落外壁カ所に応急処置として設置してある外壁用ボードがあり、ボード設置にあたり崩落カ所の上部外壁も一部撤去し、崩落カ所との下地状況の違いを確認する。上部カ所については、上塗漆喰の下は砂漆喰となっており、この部分には建物竣工当初の工法が見られる。また外壁クラック一部に補修された時に使われたグラスファイバーネットと思われるものが見られるが、その補修カ所より他へクラック(1.5㎜程度)が発生している。
・2 樋について
崩落カ所及びその上部壁に取合う雨樋の確認を行う、軒樋から縦樋へと雨水を流す呼び樋を取り外し確認すると中は落葉とシラスと思われるもので完全に詰まっている。この状況は建物北側に設置してある他の樋でも同じ状況が見られる。
・3階段屋根①について
屋根(庇)小口の汚れがひどく、その原因については、屋根銅板葺きの軒先(唐草)施工の不備と思われる。
・4 階段・廊下屋根②について
階段屋根①ほどではないがケラバ部分に銅板唐草不備によると思われる汚れか見られるが、ここで気になるカ所は屋根銅板葺き自体についてである。緩やかな勾配のためか軒先の一文字葺きは逆勾配となっており雨水が溜まっている。また以前の屋根からの漏水への対応なのか本来はハゼ加工のみで処理する重ね部分にコーキング処理がされている。コーキング劣化により屋根下側への漏水の可能性がある。
・5 外壁と窓枠について
以前の補修時に既存外壁に漆喰を重ね塗しているためか窓枠とのチリが無く、窓枠と外壁が同じ面となっている。この状況は壁内部への雨水進入の原因となる可能性がある。
C まとめ
今回の一次調査及び2月に予定されている二次調査による報告書が、今後調査員より提出されることになるが、今回一次調査に立会、再認識したことは建物の維持管理及び不具合が発生した時の適正な補修の2点である。
今回の外壁崩落の大きな原因は2つ考えられる、まずは雨水を適正に配水できなかったこと、おそらく火山灰と落葉が呼び樋に詰まり、その対応がきちんと行われなかった。二つめは以前の補修の時に従来の伝統工法が継承されず、漆喰下地にモルタルが使用されたこと、モルタルを支える土壁が長年の外壁下地への雨水の進入により竹小舞が腐食しモルタルの重さに耐えられなく崩落した。
また今回崩落カ所以外も調査することになり、将来の不具合の原因となるカ所が確認できた。この建物が文化財建造物としてこれから保存活用されていくことを考えると、適正な維持管理及び補修について、より専門的な知識と技術を前提に取組んでいくことがより求められる。
崩落箇所に応急処置として設置していた外壁ボートを撤去する


