番組の告知は一月前と聞いていたので本日(3月26日)、
「にっぽん百低山」のロケが双石山で行われた時(3月14日)の状況を、山小屋までガイドしましたので紹介します。
放送日行縢山 4月19日双石山 4月26日
山小屋近くの登山道にて(後藤氏撮影)吉田類氏 柴 山田キヌヨさん
毎朝、5時58分に腕時計が振動し一度は目覚めるが、すぐに起き上がるわけでもなく布団の中で枕元のノートパソコンを操作しあれやこれやしながら結局7時00分前後にようやく布団から出ている。今日は「にっぽん百低山」のロケ日で、ロケ班のガイドを頼まれているので、目覚ましと同時に起床し準備、サツマイモの下ごしらえは昨晩していたので、炊き立てのご飯でおにぎりを一個握り、副食としてウィンナーとソーセージをホイルで包む。
7時20分に小谷登山口に行くとすでに数台の車が止まっており、松崎氏と後藤氏の車の間に止める。
1人の男性が近づいてきて「柴さん」と声をかけてくれる。S田氏という方で、宮崎日日新聞のOBでN口氏と一緒に写真部に所属されていたらしい。S田氏は森本辰雄氏に誘われて山岳会に入り現在は双石山木曜会のメンバーとして双石山を楽しまれている。S田氏の息子が山田キヌヨさんと高校時代の同窓生で、山田さんの母親とは一緒に山に登っていたらしい。
2003年に宮崎日日新聞が私の取組に興味を持ち半年ほどの期間取材を受けたことがある。そして翌年の1月27日に「なりわい再発見」というシリーズで「人生に物語を提供」というタイトルで私のことを紙面一面(広告を除く)で大きく取り上げてくれたことがある。
「なりわい再発見」掲載記事
S田氏の話だと、森本氏から山と関わりながら面白い取組をしている人がいると宮崎日日新聞社に情報提供をしてくれたらしい。森本氏は2021年の年末に亡くなられたが、40年ほどの間、機会あるごとに山のこと木のことを教えていただき、また私が取り組んでいることを聞いていただいたりした。そして森本氏の山小屋での人との出会いは貴重なものとなった(感謝)。
ロケ班との待合せの7時40分過ぎにレンタカーが駐車場に止まりロケ班のメンバーが到着する。清武駅での撮影が長引き遅くなったらしい。
徐々に今回の関係者が集まってくる。昨日も第二展望台までプロデューサーに付き合った杉山氏、山小屋でインタビューが予定されているM崎氏、ロケ班はメインの吉田類氏と今回のパートナーの山田キヌヨさん、プロデューサーの溝口氏と同じ会社のスタッフが3人、そしてカメラマンと音声さん、ドローンカメラマンの稲田氏、吉田類氏のマネージャー、NHKのブロデューサーの国貞氏で、この方はNHK番組グレートトラバースを立ち上げから取り組まれている方で今回直接的なプロデューサーではないが、機会あるごとに「にっぽん百低山」のロケに参加しているらしい。
吉田類氏は「にっぽん百低山」のメインキャストで、多くの人にとってはBS-TBSで放送される「吉田類の酒場放浪記」の方が馴染み深いようだ、ライター、イラストライター、俳人としても活動されている。山田キヌヨさんは俳優で、多くのドラマ、映画、コマーシャルにどちらこというと脇役として出演されている。宮崎大宮高校の演劇部、そして早稲田大学で演劇映像を学び現在に至っている。この番組のゲストは取り上げられる低山の地元に関わりのある女性が登場しており、山田さんの場合は母親が山好きで双石山にも数回登られている。
8時00分前に小谷登山口をスタートする。最初の急登を上った所で早々にロケ班メンバーは登山道ではなく重機道の方に移動し、類さんとキヌヨさん2人が登山道を登ってくる場面を撮影している。これからずズート類さんとキヌヨさん2人以外のスタッフは先に進んだり後ろに下がったりと大忙しとなる。
最初の重機道合流地点から北側の重機道で待機していると小谷対岸の稜線に2人の登山者の姿がありよく見るとM崎氏とその娘さん、カメラを向けて大きく手を振ると、気づかれて娘さんがバンザイのスタイルで答えてくれ思わずパチリとシャッターを押す。
今度はスタッフが先行しカエル岩手前の平地まで一緒に登り、犬岩横の急登途中でプロデューサーと話している類さんとキヌヨさんを見ていると、常連の岩倉さんがお友達と一緒に登って見え類さんに達に何か話かけている。その後に杉山氏が、同じ木曜会メンバーの山本氏と園田氏と一緒ら登ってみえ類さん達と言葉を交わしている。
8時36分に小谷登山道分岐点に到着、分岐点にある人の背丈の二倍ほどの岩について類さんとキヌヨさんがあれこれと話をしている。どうやらプロデューサーが2人にこの岩が何かに見えないか問いかけたようだ。
ええ、この岩に名前が付いていることは今まで知らなかった。分岐点前にあるカエル岩についても同じようにプロデューサーが2人に問いかけていた。この岩についての情報はおそらくS氏によるものなのかもしれない、岩の天端の少し斜めになっている部分がゴリラの顔に見えるらしい。知らなかった。
今回のロケルートは去年改定されたエリアマップに紹介されているルートで、分岐点を真っ直ぐにイワヤ神社方面に進む。途中で類さんが登山道から少し下がった所に生えている根曲したタブノキに絡みついた蔓に興味を持った様子でキヌヨさんと何か話されている。
突然プロデューサーから「柴さんこの木は何ですか」と聞かれ「タブノキです」と答える。この木に関しては蔓がからんでいる木としての認識しかなく、急に聞かれて樹皮を見た時に一見バリバリノキではとも思ったが、見上げてもバリバリノキの葉が見当たらず、幹肌と葉の形状からタブノキだと判断した。
イワヤ神社に到着、毎回のことだが、ここで今日の無事なる登山を祈願し先に進む。途中に生えている大きなエノキ手前を左に進まなければいけない所を、類さん達が真っ直ぐに進まれ思わず「類さん左の方向です」と後ろから声をかける。
私はガイドとして先行することはなく、どちらかというと後ろから付いて行き何かわからないことがあったらその疑問に答えたり、進む道をアドバイスする役割である。私が画面にでて類さんと絡むシーンはないと聞いていた。
天狗岩に到着、さすがに国内最大級のタフォニーには2人とも驚かれる。針の耳神社の小さな祠の前でキヌヨさんと2人、天狗岩に関する事前情報はなくその場で思いついたことを話されている。この番組は類さんが低山を登りながらご自身の経験と感性を前提にゲストに説明されており、山の概要については別途ナレーションが入りそこで本来の特徴について説明している。
天狗岩右側の急登を上り、天狗岩の背中に付いてあれやこれやと話されている。そして空池に入る隙間を潜り、おそらく突然目に入った光景に「これはすごい」という声が聞こえる。私と他のスタッフはアブミルート方面に上がり岩陰に身を潜めてカメラに映り込まないようにしている。
空池では昔、安井息軒が弟子達とここに来て底から上を見上げ針の穴の如くと表現したことを説明する。また窪地だが大雨でもここに水が溜まることがないことを伝える。
チョークストーンを潜り一旦王家の谷に入るが、ここからステンレス三段梯子を降りて象の墓場方面に進む、最初の急登を上がったところにあるタフォニー形状の岩肌には砂の層にたくさんある生痕化石について私から説明する。
実は、事前にプロデューサーから地面に転がっている岩や石ではなく岩壁に化石が見られる場所はないかと聞かれており、一昨日(12日)に登った時にここの砂層にたくさん生痕化石らしきものがあり、それを写真に撮り翌日の月曜日にA崎氏に写真を見てもらい確認していた。
地質の専門家であるA崎氏の話だと、ここの生痕化石はアナジャコの巣で、およそ800万年前に海で堆積した地層で、その地層が100万年前あたりから徐々に隆起し現在の姿になったらしい。
生痕化石をよく見ると、どちらかというと白い砂層の中に濃い茶色をした棒状の物がタテやヨコに場所によってはへの字の物がある。ヨコの物が住処でタテのものはアプローチの部分らしい。色の違いについては巣穴にたまった別の土の色であったり、アナジャコが自身の分泌液を巣の内部を内張したものかもしれないと聞いていた。
上記内容を説明した後に、類さん自身がそれを見つけ類さんなりの言葉でキヌヨさんに説明し、そこで一旦撮影は終わるが、国貞氏からここの場面は地元の人が説明した方が自然だとの提案があり、結局カメラの前に立つ予定はなかった私がこの場所で偶然類さんたちに出会い、この地層とその中に見られる生痕化石を説明することになる。
音声の方よりピンマイクを付けられていざ本番、一通りの説明が終わり類さんからの質問があった時に、緊張なのかついつい咳込んでしまう。そう何かしらの神事があるときには咳き込むことが多い体質である。それでも撮り直すことなく私が2人に説明している場面は終わる。
アリドオシの群生に注意しながら進んでいると後ろから岩倉さんがお友達2人で追い越そうとされたので、類さんに「この方達は類さんのファンで、よかったら一緒に写真に写ってもらえませんか」と尋ねると、近くにいたプロデューサーが「今撮影中なので」と遮るが、類さんから「良いですよ一緒に撮りましょう」と声をかけられる。最初は類さんと3人で、折角だからと思い近くにいたキヌヨさんに「一緒に入ってください」とお願いし次は4人でパチリ、岩倉さん達は「ルンゼから下ります」と嬉しそうに先に進まれる。
10時00分過ぎに象の墓場に到着、ここでもスタッフは奥の風穴近くの見えないところで一旦待機、そこに類さん達が下りてくる。ここでも象の墓場の名前の由来、そして十分な説明はできないが、天狗岩、空池、象の墓場と山側から剥がれ落ちた岩壁により大小の隙間ができた地形(トップリング)について説明する。合わせて事前に山友のオッシー から聞いていた巻貝の化石を見ていただく。
墓場の岩にたたずむ象の話をすると、大きな顔の象をすぐに見つけられる。母親象のお腹の下に赤ちゃん象がいることを伝え、母親象の前足の説明をしたところで類さんから「あれが小象ですね」とすぐに見つけられる「よくわかりましたね」と言うと「私は絵描きですから」と答えられる。イメージ力があるのだとつくづく感心する。
登って来た登山道を引き返しステンレス三段梯子を登り王家の谷に入り、岩の上四兄弟、化石谷をスリーし尾根コースへと繋がるステンレス梯子を登り一旦大岩に登るが、ここでも撮影のため大岩を降りて下の岩屋入口でスタッフ達と待機する。
大岩に登った類さん達の感嘆の声が聞こえてくる。小谷登山口からひたすら足元を見つめて登り、小谷登山道分岐点では少し展望が開けるが、その後は天狗岩、空池、象の墓場、そして急登の始まりとなる王家の谷とスタンスとホールドに注意してきた類さん達にとって大岩からの開放的な眺めに感嘆の声が上がるのも当然のことである。
ここでもしばらく撮影が続き12時30分に双石山登山の核心部である最後の尾根コースの急登を登ることになる。とりあえず先行するのは類さんとキヌヨさんで、それをカメラマンがすぐ後ろを追いかけて最初のステップに上がった所で、次は逆にカメラマンが先行し上からカメラを向けて木の根を掴みながら登ってくる2人を撮影している。
尾根コースはほとんどが急等で手を使わなければ登れないコース、その中に長めのロープヶ所が三ヶ所あり、二ヶ所目は巻き道があるが巻道にもロープがかかっている。
二ヶ所目となるロープヶ所を登る類さんの姿を見ながら、三ヶ所目となる最も長い所は、果たして大丈夫だろうかと少し不安になる。ここは谷コースに容易にトラバースすることができる場所であり、類さんに同行しているマネージャーの方も心配そうで、取り付きまで登ってきた類さんに「この岩場ルートには別の巻き道があるそうです」と声をかけるが、類さんは「大丈夫です、登れます」と登って行かれる。
この時点で12時45分、私は谷コースにまわり上の尾根と谷との分岐点で大きなアカマツの後ろに隠れて2人の到着を待つ。岩をロープを頼りに登ってくる類さんを見ているとロープが長すぎるせいか左右に体が振れることがある。
12時50分に先に第二展望台に上がるとテーブルベンチに5名の女性達、河野さん、井久保さん、桜川さん、そして他の2人は顔を見たことがあり、内1人の方より「以前山小屋でお会いしました」と声をかけられる。先先日も山小屋で会った山友の桜川さんに「あれ、今日は仕事だったのでは」と思わず声をかけてしまう。
スタッフ達は先に上がり、そこに類さんとキヌヨさんが到着、ここも撮影中で、テーブルベンチの5人の女性達から熱烈歓迎の声がかかる。カメラは回っていたが果たしてこのシーンは放送されるのだろうか。
この時点でスケジュールからすると1時間以上の遅れとなっており、計画では山小屋でのランチとなっていたが、ここでランチをいただくことになる。私は山小屋の囲炉裏で焼くサツマイモをランチの主メニーとしていたが、念のためにと一個だけおにぎりを持ってきていた。後藤氏と半分づつとりあえず口に入れる。
第三展望台との間の山桜が満開となっており、見上げの写真を撮りに行く。青空をバックに白い桜の花びら美しい。第二展望台のクロキの奥の枝先を見ると肉眼で何か赤い物が見え、カメラをズームアップするとヤマモモの赤い花芽がたくさん付いている。これもパチリ撮るがなかなかピントが合わない。
13時40分に再度誰もいない第二展望台に類さん達が到着するシーンを撮影し、その後山小屋をめざして尾根筋登山道を進む、先頭は類さんとキヌヨさんで直ぐ後ろにカメラマン、所々ではカメラマンが2人の横でアップで撮影している。
イスノキ林を通りクチベニダケ自生地を過ぎた所で、プロデューサーから「柴さんこのドングリはなんですか」と声がかかり、見に行くとキヌヨさんの手には小さめの細いドングリがある。天狗岩横の急登で拾ってきたどんぐりをポケットから取り出し、それと比較しながら「どんぐりは22種類の樹木があり、このお尻が凹んでいるものはマテバシイの仲間で、キヌヨが持っているお尻が膨らんでいるのはカシ類の仲間が多く、この細い形状からするとおそらくウラジロガシのドングリだと思います」と説明する。
このシーンもカメラは回っているが放送されることはないだろう。すでに生痕化石の説明の時にピンマイクまで付けられているので、もしも私が出るとすればそちらのシーンとなりそうである。
14時05分に山小屋に到着する。小屋にはすでに松崎氏と杉山氏が待機しており、他に園田氏、山本氏、そして松崎氏の娘さんもいらっしゃる。予定では私は囲炉裏を囲む常連さんという設定だったが、途中でカメラに写ったので、ここに居ては不自然ということで山小屋から出ることになり北側テラスのベンチで後藤氏と2人で待つことにする。
開け放された窓越しに中の声が聞こえてくる。松崎氏の声はよく通り山小屋再建の時のことを色々と説明している。カメラを持って入り口にいるカメラマンの頭越しにカメラを構えシャッターを押す。もちろんシャッター音と操作音はオフにしている。
山小屋での地元登山者との出会いが今回のテーマとなっており、類さんもしきりと質問されている。私のガイド役はここ山小屋までで、この後の山頂までは杉山氏が案内することになる。
スケジュールでは山頂まで行き撮影はそこで終了し、下山は山小屋経由で小谷まで下山するはずだったが、時間が遅くなり九平登山口に下山し、小谷に止めた車を九平登山口まで回すことになる。
私は山小屋の囲炉裏でサツマイモを焼き下山途中の類さん達に食べていただこうと準備していたが、結局はここで撮影隊とお別れとなり、類さんとキヌヨさんにお願いし3人での写真を撮り私のガイドとしての役割は終わる。
皆が出て行った後に後藤氏と2人囲炉裏を囲んでサツマイモが焼けるのを待つことになる。第二展望台でのランチがおにぎり半分で2人ともお腹が空いている。ここでの後藤氏との2人の時間、今回のロケについてあれこれと話が弾む。
16時18分に囲炉裏の始末を行い下山スタートし、途中第二取付き、化石谷、小谷登山道分岐点で休憩し17時06分に小谷登山口に下山する。
今日の無事なる山行と新たな出会いに感謝に山に一礼する。駐車場には3台の車が有り1台は松崎氏のもので運転席には松崎氏の姿があり、ウインド越しに挨拶をする。
プロデューサーと吉田類氏とカメラマン

山田キヌヨさん 宮崎市出身

まずはスタッフ達が先にスタート

登山口からの最初の急登後の平地
重機道から

目線を上げると緑の中に山桜の開花
小谷の対岸稜線に松崎氏
類さん達と言葉を交わす、岩倉さんとお友達

杉山氏、山本氏、園田氏

カエル岩手前で待機するスタッフ

犬岩横の急登を登る類さんとキヌヨさん

小谷登山道分岐点の岩を見ながら、あれやこれや

分岐点から 快晴

根曲の木 葉の確認

コブ付きタブの巨木に近づく2人を待ち受けるカメラマン

天狗岩にて



天狗の背中を見ながら

ステンレス三段梯子を下りて象の墓場へアプローチ
カメラを構えるのは後藤氏

出会った岩倉さん達との4人でのショット

象の墓場 そのスケールと雰囲気に圧倒される


尾根コースを登る

尾根コース 一番長いロープヶ所を登る類さん

山桜開花

ヤマモモ花芽


山小屋での語らい
山小屋再建時の話を松崎氏より聞かれる

山小屋北側テラスより

最後にお二人との記念撮影

最後に、当初放送日は4月19日(水曜日)と言われていたが、行縢山を19日に、双石山は翌週の26日に放送することになったらしい。ロケ当日にスタッフの方より「双石山は見所満載で23分に収めるのは大変」との声が上がっていたので、編集に時間がかかり、後でロケした行縢山が先に放送することになったのではと思っている。