初登山 囲炉裏火囲む 登山者は 想いは似たり 清々しさを

8時に次男を最寄り駅に送り、一旦帰宅し再度食堂カウンターに腰掛けて、しばし奥さんとの会話「あなたの今年の目標は何?」と聞かれ、しばらく考えて昨年より取り組んでいることを伝える。それは今まで文章として表現してきたものを冊子にまとめること、手始めにすでに取り組んでいることは、このブログ「柴睦巳・備忘録」内の「双石山へ」をまとめている。
他にも、ここ10年ほど取り組んでいる「ヘリテージ」に関する文章を冊子にする。そして40代から60代にかけて取組みその都度レポートとしてまとめたものを冊子にすると伝える。
「であなたの目標は」と奥さんに聞くと「動けるうちに行きたい所に行くこと」と、ここ数年奥さんが実施していることが返答としてかえってくる。
まだまだ、外の世界に目を向けて行動しようとする奥さんと、過去の事について形あるものとして残すことを考える自分、体力的には私の方が若干若いが、精神的には私の方が「老い」の境地に入り込もうとしているのかもしれない。
いや、もしかして性格的なものかもしれない。山小屋で出会った登山者との会話の中で、良く他の山が話題になることがある。県北の祖母山・傾山、霧島山系、久住の秋の美しさ、屋久島の魅力などがある。それぞれの山に興味を持って聞いてはいるが、その山に登りたいとは思わない。
ただ双石山に四季を通して登ることができればそれだけで満足している。屋久島については探検隊メンバーからの度重なるお誘いがあるので少し心が動き始めている。ただそれは屋久島というよりは探検隊メンバーと一緒にということが大きいような気がする。
あれこれと、奥さんと30分ほど話し8時43分に自宅を出発し8時54分に小谷登山口に到着する。登山口前に止めて登山の準備、隣にレクサスのSUVが止まり一人の女性が降りてくる。他にもすでに3人が車の中で待機していたようで4人そろって登山口前の掲示板を見ながら打ち合わせをしている。
「おはようございます」と4人に声をかけて9時5分に登山スタートする。昨年末もそうだったが最初の急登を上がった所から登山道は脇の草木を含めて地面が濡れている。所々頭を出している滑りそうな岩に気を付けながら一歩一歩と上っていく。
親子岩手前で小谷対岸の杉林に目をやると、樹齢50年はすでに過ぎている杉の木が白い幹肌を見せている。間伐がされていないため場所によっては過密状態の所があり、風が強い日には、杉の木同士がぶつかり合い「ギーギー」と不気味な音を出すが、今日この時点では風がなく、聞こえるのはビブラム底の登山靴で登山道を踏み締める音だけである。
親子岩横の急登を上がり重機道で振り返ると青空に七つ山の稜線がくっきりと望め、杉林の伐採により稜線に建つ山の神の社とその周囲に植えられた樹木が良く見える。
夏場はこの場所で切株に腰掛けてしばしの休憩とするが、この季節は七つ山をチラッと振り返るだけで、そのまま次の犬岩横の急登へ向かう、取付きは水の道があるせいか登山道全体が湿っており足運びに気を付けて登る。
9時20分に小谷登山道分岐点に到着、いつものようにリックをベンチに降ろして、ここから見える風景をパチリ撮り、母親とグループライン双石山にアップする。
グループライン双石山には自宅を出る前に「おはようございます、快晴、2026年初、山小屋焼き芋オープンします」とメッセージを入れると、すぐにシスターコーヒーさんから「今から行きます」と返事があったが、果たして何人の山友と一緒に新年の囲炉裏火を囲むことができるのか楽しみである。
登山口でお会いした女性4人組が登ってみえ休憩される。その後で一人の男性が登ってみえる、この方はN国原氏で年に数回お会いしており、いろんな山に登られている、単独でお会いするのはめずらしい。
N国原氏と挨拶を交わしベンチ横に自生している「ツルギキョウ」の現状について二人で確認する。常連の佐々木さんが登ってみえ挨拶を交わした後で、先行されたN国原氏の後を追うように私もイワヤ神社をめざして登る。
イワヤ神社にて「今年も怪我のない無事なる山行となるように、そして新たな出会いがありますように」といつもより多めの賽銭を入れて祈願する。
天狗岩取付きに行くと男女のペアーが右側の急登を上っている。二人の後を追って登り空池手前の隙間をくぐると、上から巻いてきたのか男性から「そこから来れたのですね」と声がかかり「隙間を見落とされる方が多いですよ、下山時には利用してください」と返答する。
空池に下りチェックストーンをくぐり王家の谷に入るとN国原氏の姿があり、しばしステンレス三段梯子の東側岩壁の隙間(亀裂)について説明する。岩の上四兄弟の谷側のステップに取り憑いた時に、先ほど見かけた男女ペアの女性の後ろ姿がチラッと目に入る。
そこは化石広場をそのまま谷筋に上り、なおかつ右側の谷の取付き部分、思わずいつもは登らない所を化石広場まで駆け上がり、2人の姿は確認できなかったが「そちらはルートではありませんよ」と大きな声で呼びかける。すぐに「ありがとうございます」と返事がありしばらくすると2人が下りてくる。
男性から「どちらに行けば良いのですか」との問いに、正式ルート上にある赤テープを指差して「とりあえず赤テープの所まで来てください」とアドバイスする。二人が正規ルートにたどり着くのを確認してから先に進む。
今日も登りは尾根コースを選択、ステンレス梯子を上り次はロープと木の根を頼りに上り詰めると、そこには丁度大岩から降りてきた3人の姿があり、先に進むことを勧められるが「私はここで休憩してから上りますので、どうぞ先に進んでください」と返答し、しばし休憩する。
先ほどの男女2人が上ってきて、まずは男性が大岩に上り続いて女性が上っていく。女性は手ぶらでリックを担いでいない、何も無い状態で登っている。たまに手ぶらで上る人を見かけることがあるが、正直感心しない。もし転落した場合に背中にリックを担いでいるとリックがクッション代わりになることが多い。怪我自体は免れないにしろ背中を痛めるリスクが少なくなる。
大切な人に荷物を持たせないということかもしれないが、安全性を考慮するとクッション性のある中身を前提にリックを担がせた方が良い。
休憩していると常連の佐々木さんが上ってみえ一緒に尾根筋まで上ることになる。大岩から第二展望台までは15分程度だが、山中で最も険しいルートでロープと木の根を頼りに三点確保を前提に登るカ所が続く。
10時15分に第二展望台に到着、先ほどの3人組とN国原氏がリックを降ろし、そしてトレイルランの男性がそのままの格好で休憩中、私もテーブルベンチにリックを降ろしいつものようにここから見える宮崎平野をスマホで撮る。
佐々木さんは一旦第二展望台に上がられるが、直ぐに山頂をめざして尾根筋登山道を進まれる。N国原氏にお願いし2人での写真を3人組の男性に撮っていただく。今年は山で出会った方と一緒の写真をなるべく撮ることを目標としており、その手初めとしてN国原氏にお願いする。
山小屋をめざして尾根筋登山道を2人で進み、10時45分に山小屋に到着、3人組も続いて到着し一緒に山小屋で休憩することになる。リックを板間に降ろして早々に囲炉裏に火を入れる準備をはじめると3人組の方達も興味津々となる。
まずは灰床をスコップでバケツ一杯分掘り起こしてから、山小屋先のピーク巻道へ焚き付けとする杉の枯葉を拾いにいく。N国原さんと3人組の男性2人も一緒に薪を集めてくれる。杉の枯葉を拾い斜面をピークに上がると登山道を登ってくる男性一人、よく見るとY井君ではないか、正月に届いた年賀状に12月から双石山登山に復帰した旨のことが書いてあり、近々山中で会えるのではと期待していた。
Y井君に山小屋に戻り一緒に囲炉裏の火を囲むことを提案するが、途中で出会ったたくさんの子供達が登ってくるかもしれないので先に進むとのこと、山頂から九平登山口に下りて県道27号線を歩いて小谷登山口まで下りるらしく「また、ゆっくりと会いましょうと」ここで別れる。
山小屋に戻り囲炉裏に火を入れる、杉の枯葉を焚き付けとすると直ぐに囲炉裏に火が回る。いつものように鉄筋フレームと鉄網、鉄板を被せて持参してきたサツマイモ、バナナ、銀杏、そしてリンゴをのせる。
しばらく5人で談笑、まずは自己紹介し3人の方達ににお話を聞く、この方達は、矢野氏、松田さん、小山氏で「このブログでお名前を紹介して良いですか」と聞くと「どうぞ」との返事をいただく。矢野氏と松田さんは私と同じ住宅地に住んでいる方で、小山氏は私の姉と同じ住宅地に住んでいる。
松田さんが2人のことを師匠と呼んでいるので「何の師匠になるのですか」と聞くと「矢野氏がサックスの師匠です」との返事、小山氏は自身で「私はカラオケと楽器は過呼吸のため医者に止められています」と言われる。カラオケを好まない自分にとって「カラオケが医者に止められている」という表現は「う〜ん」なるほどと少し感心する。
矢野氏の携帯に連絡が入り近くで火事が発生しているらしい。場所は団地南側で、詳しく聞くと私の従兄弟が住んでいる所の北側になるらしい。出火原因はまだわからないが火元となったお宅はさぞお困りのことだろう。
シスターコーヒーさんがみえ奥のベンチに腰掛けられる。いつものようにたくさんのコーヒーを持参されており、囲炉裏の火を囲みながらみなさんと一緒に美味しいコーヒーをいただき、合わせて今朝作ったというパンケーキをホイルに包んで鉄板の上にのせて「みなさん一緒に食べてください」とありがたい。
温かくなっとところで、いただくと甘さはないが素朴で健康に良さそうな味がして美味しくいただく。寒い山中で山小屋の囲炉裏に火が入っており、温かく美味しいコーヒーとパンケーキ、そして少しだが熱々のヤキイモとなんと贅沢な山行なのか。
山友の藤本氏がみえ一緒に囲炉裏の火を囲む、藤本氏の背中にはこの季節に良く見られる光背ならぬ湯気が立ち上がっている。
櫛間さん夫婦とK越さんが入ってみえる。櫛間さんとはグループライン双石山で繋がってはいるが、久しぶりでおそらく一年ほどお会いしていない。
K越さんは登山靴中の指先を痛めたらしく小屋に着くなり登山靴を脱ぎ指の状況を確認されている。バンドエイドを貼られるが、シスターコーヒーさんが柔らかい布を差し出し「これで巻いてみてはいかがですか」と渡される。
高瀬氏がみえる、昨年秋に霧島山系で肉離れを起こし、年末はリハビリで加江田渓谷を散策されていた。今日思い切って登ってきたとのこと、途中での下山も考えたらしいが、山小屋まで登れば囲炉裏には火があり、山友がいるということが励みになったらしい。
山小屋の北側テラスのテーブルベンチでは、登山口で出会った女性4人がランチを取られているので焼き上がった焼き芋を持っていき食べていただく。
櫛間さんとの話で以前「私は柴さんより年上ですよ」と言われていたが、今日改めてその年齢を知ることになり正直びっくりした。当初出会った頃は私とほぼ同世代と思っていたが、改めてそのお元気さに敬服する。しばらく休憩し櫛間さん達は山頂をめざし山小屋を出発される。
シスターコーヒーさん、高瀬氏、藤本氏の4人で囲炉裏の火を囲み談笑していると一人の男性が入ってこられる。この方は鹿児島市内の方で初めて双石山に来られたらしい。リックは軽装だったが話を聞くと鹿児島県内のさまざまな山に登られているらしい。
一時間ほどして櫛間さん達が山頂からに帰ってみえしばらく一緒に囲炉裏の火を囲む。足の指先を痛めていたK越さんは、シスターコーヒーさんから頂いた柔らかい布のおかげで痛みを感じることはなかったらしい。
14時40分に囲炉裏の火仕舞いをスタート、櫛間氏が興味津々にその過程を眺めている。灰床を深くして火を焚いた二つの理由を説明すると「なるほど、そうですか」と感心される。
14時47分に山小屋の掃除を終えて下山開始し、スターコーヒーさん、高瀬氏、藤本氏の4人と一緒の下山となる。途中第二展望台取付きで私がヘルメット着用のため小休止、ここでシスターコーヒーさんより美味しい杏をいただく。
次の休憩は小谷登山道分岐点のベンチ、リックを降ろしてしばし4人で談笑し、16時5分に小谷登山口に下山、本日の無事なる山行と新たな出会いに感謝して山に一礼する。
小谷登山道分岐点から正面奥に尾鈴山が見える

分岐点ベンチ横に自生するツルギキョウ
種を採取できる日が待ち遠しい

ステンレス三段梯子東側岩壁の亀裂

第二展望台から宮崎平野を見る
西国原さんとのツーショット

囲炉裏の火

囲炉裏の火を始末

下山前に山小屋北側テラスから
