双石山 2026年1月18日 檍中陸上部
2026年 01月 23日
9時に小谷登山口をスタート、前回同様に登山道の雑草や所々頭を露出している岩は夜露のためか湿っているので足元に気をつけながら登っていく。見上げると少し霞がかかっているのか北壁の岩肌は前回のようにはくっきりと見えない。それにしても今日は暑いのかすぐに汗ばむ、前回冷たい空気の中で息も上がらずに順調に登れたが、今日は親子岩横の急登を登り詰めたあたりで少々息切れし汗ばんでいる。
ここから見える犬岩のチエーンが濡れているせいか光って見えている。自然の岩肌に人工的な「光り物」長さは1mも無いがかなり目立っている。設置した方は早く撤去してくれればと思う。
重機道を過ぎ次の急登は一部が水道となっているためかぬかるんでいるため足元に気を付けながら登る。足元に注意しながら登っているといつの間にか小さな谷にかかる板橋に到着、ここで後ろから登ってきた男性登山者に道を譲るために一旦立ち止まる。
ここには初夏に実を付けるヤナギイチゴが自生しており、黄橙色に熟した小さな粒を口に入れることを楽しみにしている。急登が終わり以前たくさんのキバナノホトトギスが自生していた平地に到着、夏場では必ず小休止する場所となっているが、この時期は立ち止まることなくスルーしカエル岩横を通り、最初の休憩場所である小谷登山道分岐点をめざす。途中、先月まで色鮮やかに咲いていたツワブキの花はすでに落ちている。
9時13分に分岐点に到着、時計を見ると登山口から14分もかかっていない。通常15分かかっているので、寒さ故に少しでも体を温めようと足早に登って来たためなのかもしれない。
ベンチにリックを降ろし恒例となっている、ここから見える風景をスマホで撮り母親とグループライン双石山に送る。
女性を先頭に若者が次から次にと登ってくる、高校の山岳部にしては若く、先頭の女性以外は皆がジャージを着ているので、先生らしき女性に「どこの学校ですか」と聞くと宮崎市内の「檍中学校の陸上部です」との返事「ああそうですか、私も檍中学校の卒業生です」と伝える。
「今日は陸上部の生徒と顧問そして父兄合わせて33名で山頂をめざします」とのこと、33名の後を登るとなると大変だと思い、分岐点での休憩もそこそこにイワヤ神社をめざしてスタートすると、直ぐに中学生達も後を追ってくる。
イワヤ神社で本日の無事なる山行と後輩グループの安全を祈願し、次の天狗岩をめざして進み、取付きを右側に進みロープカ所に近づくと、後ろから登ってく中学生達から感嘆の声が聞こえてくる。確かに初めて天狗岩を目にした登山者らしい反応である。
木の根とロープを頼りに登っていると下から先頭を登る女性が生徒達に「上の人がロープを完全に上り切ってから次の人が登るように」と声をかけている。
岩の隙間手前の板根に腰掛けて小休止し、天狗の背中をまじまじと観察していると黒づくめの女性が登ってくる。格好からして常連の佐々木さんではと思い、上って来たところで「佐々木さん」と声をかけて挨拶を交わす。
隙間を膝まづきながら潜り空池にアプローチ、隙間を抜けると眼下に左右の岩壁に囲まれた空池を見下ろすことになる。岩の隙間に慎重に登山靴を降し空池の底に下りていく。チェックストーン下で立ち止まり今下りてきたルートを振り返り、そのまま目線を上に上げていく。
岩壁と岩壁に挟まれた狭い青空を背景にたくさんの樹木が重なり合っている。この風景を「空に浮かぶ池」すなわち「空池」と呼ぶようになったという双石山の常連さんもいる。また「空池」の謂れについて、たくさんの雨が降ってもこの場所には水が溜まることがないので空の池、すなわち「空池」と名付けられたという説もある。
チェックストーンをくぐり王家の谷に入り、夏場の休憩場所としている風穴に近づくと、突然目の前に3人の女性達が姿を見せ、正直「ええ、あなた達はどこから来たの」と声には出さずに聞いてしまった。
風穴を過ぎ岩の上四兄弟の下をトラバースしていると、突然の落石と上から「らくらく」の声がして、目の前を拳大の石が落ちていく、中学生達はまだ空池の中なので一安心する。
岩の上四兄弟の定位置に腰掛けていつものように休憩、ヘルメットとおでこの間から汗が滴り落ちてメガネのレンズを濡らす。女性3人と佐々木さんが化石広場へ上り、女性3人達が谷筋の方に登っていくのが見えたので「そこは左です、ロープが見える方ですよ」と大声で叫ぶ、先頭方はそのまま登られたが後の2人は正規ルート方向に進まれる。
大岩下のステンレス梯子の取付きに到着、ここで中学生達に追いつかれるが、先行して大岩取付きをめざして登り取付きの岩に腰を下ろして小休止する。大岩の上には先ほどの三人の女性達がおり、上から流石に暑かったのか「衣服調整、衣服調整」と声が聞こえてくる。
直登が続く尾根コースを慎重に上り次の休憩はカズオチェアーの上、岩に腰掛けて休憩していると三人の女性達が追い越していき次のロープカ所を巻道を使わずにそのまま登っていく。三人ともに登山慣れしておりいろんな山に登っているのだろう。
小休止後、次の中学生グループに追いつかれる前に再スタートする。次はロープによる岩場の直登と左側に回り込み木の根とロープを頼りに登ることのできる二つのルートを選択できる。迷わずに左側に回り込み慎重に三点確保を守りながら着実に登っていく。
岩の上に根付いたアカガシの横を抜けて行くと最も標高差のあるロープカ所取付きとなる。ここは木の根だけでは登れなくついついロープに体を預ける所が数カ所出てくる。ここの直登を過ぎると谷コースとの分岐点となり、尾根筋登山道まではあと少し、最後まで慎重に登ると山頂・第二展望台への案内板が設置してある。初めての方であれば、迷わずに第二展望台に上がられることを勧めている。
双石山は照葉樹林で覆われており、遠くの景色を楽しめる場所は少なく。尾根筋で最も景色が楽しめる場所は山頂ではなく第二展望台だと思っている。
10時03分に第二展望台に上がると尾根コースで追い越していった三人の女性達が休憩中、私はいつものようにテーブルベンチにリックとカメラバックを降ろしてから、ここから見える宮崎平野の景色をスマホで撮る。
しばらくすると中学生が登ってきたので、同じテーブルに座った中学生と2、3言葉を交わした後、山小屋をめざして一旦取付きに下りて、その後は尾根筋登山道を山小屋をめざして進む。ここからは天狗岩から第二展望台までの急な登りではなく、徐々に高度を上げていくなだらかな尾根筋ルート、木々の葉の間から落ちる木漏れ日が気持ち良いが、冷たい空気のためか体を温めようと急ぎ足で進む。
10時30分前に山小屋に到着、山小屋出入口のアルミの扉には、足元にストッパー代わりとなる石が置いてあり登山靴で石を建具枠横に移動し建具を開けて山小屋に入る。板間にリックなどを降ろして囲炉裏に火を入れる準備を行う。
囲炉裏に火を起こす手順は毎回同じで、囲炉裏内に敷き詰められている耐火煉瓦を取り出し、次に灰床をスコップでバケツ一杯分掘り起こしてから、焚き付けとする杉の枯葉を探しいいく。場所は山小屋先のピークの巻道部分で、杉の枯葉と合わせて枯れた雑木の小枝も集める。
山小屋に戻ると中学生グループがすでに到着しており、外のベンチや小屋内の板間と2階に班ごとに別れて座っており、囲炉裏横のベンチには付き添いの方なのか男性一人が座っている。
土間に無造作に脱がれた運動靴を並べて「今から囲炉裏に火を起こします」と断りを入れる。火をつける前には外に設置してある雨水タンクでバケツ一杯分の水を汲み囲炉裏横に置いておく。枯れた杉の葉と乾燥した小枝のためかすぐに囲炉裏に火が回る。
中学生達は、ほとんどの子がカップ麺で美味しそうに食べている。山で食べる機会はなかなか無いだろうからさぞかし美味しかろうと思う。最初に出会った女性教師が小屋に入ってきて申し訳なさそうに「お騒がせして、すいませんね」と声をかけられる。生徒達には「あと30分ほどで出発です」と伝える。
女性教師に「2階にいる子供達に降りる時は窓が閉まっていることを確認するように伝えてください」とお願いする。よくあることだが子供達が山小屋に入ってきた時、ほとんどの子が2階に興味を持ち上がって行く。そしてたまに窓を開けたままにして下りることがある。
中学生に混じって小学生低学年の子供達も小屋に入ってくる。一緒に入ってきた子供の母親らしき人に話を聞くと「別のグループです」との返事がある。隣に座った男の子から「おじさんはここに住んでいるのですか」と聞かれ「週末の日曜日だけは住んでいますよ」と答えると、不思議そうな顔をこちらに向ける。
男性1人、女性1人の2人が入ってみえ「柴さん」と声をかけていただく。この二人とは以前囲炉裏に火が入っていた時期にここでお会いしているらしい。その後ご自身達だけで囲炉裏に火を入れて過ごしたことがあるらしい。
2人に名前を聞くとN山氏とY名さんといい、カメラバックに入れている「出会いリスト」で確認すると、2023年12月24日にO倉氏という方と3人で登ってみえ一緒に囲炉裏の火を囲んでいる。その日は他に楢原氏、O倉氏、N山氏、Y名さん、武田氏夫妻、森山氏、常連の大澤氏、望月氏、そして山友のオッシー と変わりがわりいろんな方と一緒に囲炉裏の火を囲んでいる。
山友のシスターコーヒーさんがみえ、囲炉裏奥のベンチに腰掛けられ、直ぐにリックからポットを取り出され「柴さんどうぞ」と温かいコーヒーをいただく、合わせて朝作ってきたというパンケーキをホイルに包み鉄板の上にのせられる。今回は前回とは違いバターと甘味料が入っているらしい。
2023年12月24日にも来られていた大澤氏がみえ一緒に囲炉裏の火を囲む、N山氏とY名さんはあの時に日本百名山を完登し登られた山で作られた大澤氏の名刺をいだたいたらしい。今回大澤氏は最短ルートで登ってきたとのこと。
大澤氏から昨年5月に亡くなられたK氏の事についてお聞きする。K氏は双石山を知り尽くした登山者のお一人で山中の数カ所に鹿の角を利用したリック掛け、ストック掛けを設置されている。K氏は県北の山で滑落しており、大澤氏がその時に一緒に登っていた方にお会いし話を聞いたところ、K氏はその時期に開花していたヒカゲツツジの写真を撮ろうとしてバランスを失い滑落したらしい。
私自身を含め山友達は山中の花が大好きな人ばかりで、季節季節で山中深く入り込むことがある。貴重な花であればあるほどに危険な場所に自生しており、毎回細心の注意をしているが、改めて撮影時の安全確保を肝に命じることにする。
北側のテラスベンチで話し声がするので、出て行くと二人の男女がランチ中で「もしよかったらサツマイモが焼けていますので食べませんか、良ければ小屋の中でいかがですか」と声をかけると「いただきます、小屋の中は人が多くて座れないのではと思っていました」と返事があり「大丈夫です、十分座れますよ」と応える。
しばらくすると2人が入ってみえ一緒に囲炉裏の火を囲むことになる。この2人、双石山登山は男性が3回目で女性は2回目らしく以前一緒に囲炉裏を囲んでいる。「出会いリスト」で確認すると2025年1月19日にご一緒したS山氏夫妻で、あの時奥さんははじめて双石山に登っている。
一年前S山氏夫妻が山小屋にみえた時はサツマイモがまだ焼き上がってなく、代わりに炙っていたドングリ(マテバシイ)を食べていただいた。ドングリを食べますかと聞いたところ奥さんから「子供の頃からドングリを食べるのが夢でした」と返事があり、ドングリを見せたところ「マテバシイのドングリですね」と言われたと記録している。ほとんどの方が実を見てその樹種までは答えられない。
シスターコーヒーさんからS山氏2人に「学生さんですか」との問いに「ええ」と私、そして奥さんからは「いや40代です、嬉しいです」との返事があり「今日は柴さんに会えるのではと思いながら登ってきました」と嬉しいお言葉がある。
ホイルで包まれたバンケーキを美味しくいただきながら7人で囲炉裏の火を囲みながら談笑する。しばらくは日本百名山を完登された大澤氏の話を聞くことになる。
14時49分に囲炉裏の火種一つ残さずに始末してから下山スタート、途中第二展望台取付きでヘルメットを着用し谷コースを慎重に下りる。途中のロープカ所で登ってくる鈴木氏に出会いしばし談笑する。
岩の上四兄弟取付きで小休止、シスターコーヒーさんからタマタマキンカン をいただく、ジューシーで美味しい。次の休憩は小谷登山道分岐点でリックを降しまったりとした時間を過ごし、16時20分に小谷登山口に下山、本日の無事なる山行と新たな出会いに感謝し山に一礼する。











