双石山 2026年2月14日 ブラックカレー

立ちこめる 煙に差したる ひと筋の 光のなかに 友を想えり

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 8時30分に小谷登山口に到着、登山口前のスペースには6台の車が止まっており、早朝登山常連の加藤氏はすでに下山してきたらしく車の中で、すぐに出発される。準備をしていると常連の佐々木さんが「お先に」と挨拶されて登山スタートされる。

 準備を終えて8時38分に登山口の最初の急登を上ると同時にウグイスの初鳴きを聞く。今日は土曜日、いつもは日曜日に登ることが多いが、週末の天気予報の降水時間帯を見て判断する。

 8時54分に小谷登山道分岐点に到着、いつものようにリックを降ろしここから見える風景をスマホで撮り母親とグループラインに送る。

 今年に入りはじめた登山途中での短歌づくり、分岐点のベンチに腰掛けて「5・7・5・7・7」なかなか難しい。目線の先に広がる風景を歌えばと思い直し育ちつつある杉の木とその間に見える尾鈴山をキーワードにする。

 若杉の 木立の隙間 見る姿 西肩下がりの 尾鈴の山は

 分岐点で毛糸の帽子からヘルメットに被り直し、ここからはじまる急登に備え、イワヤ神社をめざして進む。イワヤ神社にて本日の無事なる山行を祈願し、その先に待ち受ける天狗岩をめざす。

 いよいよガレ場がはじまる大きなエノキ近くは2023年8月12日にN氏が滑落後、担架に乗せられヘリコプターによる救助前に息をひきとった場所で、その後谷筋の崩落により風景が変わり登山道自体も変わってしまった。ただし、N氏との会話とヘルコプターによるピックアップまでの時間は忘れられない。

 天狗岩を仰ぎ見ると、硫酸マグネシウムの層がいつもより目立っている。はじめて気がついた時ほどではないが、改めて地球の歴史の深さを感じる。右側急登に取り付いた時にアップルウオッチがLineにメッセージが入ったことを教えてくる。

 天狗岩 腕スマホ鳴り ・・・から 新居祝い リクエストあり

 木の根とロープを頼りに急登を慎重に登り切り天狗の背中が見える所でスダジイの板根に腰掛けて小休止する。

 この場所は正面にある「岩の階段を登る」ルートと、気付き難いが右方向にある「岩の隙間を膝間づきながら進む」ルートとの二つがある。いずれのルートを通っても空池にアプローチできるが、岩の隙間を通るルートの方が安全である。ただし空池を俯瞰するには「岩の階段を登る」ルートの方が良いのかもしれない。

 空池の底に下り、いつものように下りてきたルートを振り返り、徐々に目線を上に上げていく。岩に挟まれた狭い空が木々の間に青く晴れ渡っている。ここで一句と思い考えるが出てこない。

 チェックストーンを潜り王家の谷に入り、次の休憩場所としている岩の上四兄弟をめざす。夏場の休憩場所としている風穴前をスルーし階段状の岩場を上り岩の上四兄弟に到着、定位置としている岩場に腰を降ろして息を整える。登山口で聞こえていたウグイスではないが数種類の鳥の囀りが聞こえてきて一句捻り出す。

 化石谷 囀り多し 岩の上 兆し見えたか 初春間近

 「岩の上四兄弟」を下りて「化石広場」を横切り「天狗の井戸」前を通り、いよいよ急登が続く大岩下のステンレス梯子取付きに到着する。ここは尾根コースと谷コースとの分岐になるが、迷わずにより急登の続く尾根コースを選択する。梯子では小八重氏がいつも口にする手かがりは両サイドではなく足をかける水平部材として慎重に上る。

 大岩取付きでの休憩は無しでそのまま次のロープカ所に進み、その後も一歩一歩、そして一手一手を「三点確保、三点確保」と念じながら慎重に上り、いよいよ休憩場所としているカズオチェア上部に到着する。背もたれのある岩に腰掛けて息を整え、ここでは自然に一句出てくる。

 尾根コース 汗を拭き取り 目の先に あるじ不在の カズオ岩あり

 カズオチェアーを後に、いよいよ第二展望台まで10分足らずの急登となる。正面に見える岩壁の直登は避けて巻道の木の根+ロープカ所を登り、アカガシを抱き込むように最後の岩壁取付きに到着する。ここもできるだけロープに足らずにとは思うが、そうもいかないので、まずはロープを力を入れて引っ張ってみる。弾力性あるロープだが大丈夫そうと判断し木の根と岩場のホールドがある所はロープに頼らずに登る。

 登り切った場所は尾根コースと谷コースの合流地点(分岐点でもある)でここから尾根筋登山道までは10歩足らずだが、左側は崖となっているのでここも慎重に上り、第二展望台取付きに到着する。登山者によっては第二展望台に上がらずにそのまま山頂をめざす人もいるようだが、山中の一般登山道で最も開けた展望台で眺めも良いので立ち寄ることを勧めている。

 9時58分に第二展望台に到着、テーブルベンチにリックを降ろし、被っているヘルメットを脱ぎ毛糸の帽子に被り直してから、ここから見える宮崎平野をスマホでパチリ撮る。スマホのアンテナが立っているので写真を母親に送る。今日も着衣は3枚、気温のせいか汗ばんでいるのでダウンベストを一旦脱ぎリックの上に広げる。

 テーブルベンチに腰掛けていると、若い人達が次から次に登ってくる。総勢20数名ほどで「大学生?」と近くにいる女性に声をかけると「宮崎大学の森林について研究している研究室のゼミ生達です」との返事があり「研究室の先生は誰?」と聞くと「篠原先生です」と返事がある。

 宮崎大学森林緑地環境学科の国土管理保全分野の研究室で、指導者は篠原慶規准教授で「森林・農地の水資源及び緑を活用した防災に関する研究」に取り組んでいるらしい。

 学生達が登ってきた後で女性4人が登ってみえ挨拶を交わした後、第二展望台を出発し山小屋をめざして尾根筋登山道を進む。今日確認しなければいけないことが一つある。それはレスキューポイントの位置を明確にすること。

 今週はじめに双石山常連の川越氏が私の事務所を訪ねてきた。目的は私が2021年5月に作った写真付き地図を小谷登山口にある掲示板で紹介したいと以前から考えていたようで、そのことの了承を得るためとのことだった。

 この写真付き地図は、2021年5月に起きた行方不明者の捜索のために作った地図で、双石山の北西側山容を七つ山の山の神から撮った写真と国土地理院の地図を上下に配置し、それぞれの場所を矢印で結んでいる。合わせて地図上には100m単位でグリット表現をしており、捜索カ所を地図上で塗りつぶすことができるようにした。

 地図と写真を一緒にした理由は防災ヘリコプーターから見た時に天狗岩、象の墓場、そして尾根筋の各展望台、三叉路、山小屋、山頂の位置が目視ですぐにわかるようにしたかったからである。これは2014年6月1日の山小屋と山頂との間の登山道で転倒により動けなくなったN氏の救助の時に思ったことが要因となっている。その時のことは当時のブログと「双石山の遭難事故」というカテゴリーの中でも紹介している。

 要はヘリコプターの音は聞こえるが、照葉樹林帯の緑で囲まれた特定の位置を上空から確認することは難しかったようで、レスキュー隊員が到着するまで時間がかかった。

 その後に山中に設定された防災ヘリコプターでの救助場所として「レスキューポイント」が設定された。今回は第二展望台と山小屋との間にある「レスキューポイント5」の位置を特定する。

 第二展望台を出発し、スマホに入っている写真データーを見ながら、その時に自分がどの位置にいるのかを登山道の起伏を確認しながら進み、どうにかほぼ正確な位置を確認することができた。

 10時30分に山小屋に到着、早々にリックを降ろし囲炉裏に火を入れる準備をする。囲炉裏の準備が終わり焚き付けとする杉の枯葉と小枝を拾いに行き山小屋に戻ってくると、第二展望台で出会った大学生達が徐々に到着している。

 そうだ「森林について研究している研究室のゼミ生グループ」と言っていたことを思い出し、皆が揃ったところで「この中で山中の樹木に詳しい人はどなたですか」と声をかけると、近くの男子学生が「あの青いジャケットを着た人が詳しいです」と教えてくれる。

 3人で立ち話をしている青いジャケットを着た若者に近づいて、山中で長年疑問に思っている事について聞いてみる。それは標高の高い山中のアカマツが立ち枯れを起こしているのに双石山に自生しているアカマツの立ち枯れ頻度が低いのはなぜかということ、後で気づく事になるが私の問いに答えてくれた若者はどうやらゼミ生の指導者である篠原准教授だったようだ。

 答えてくれた説明内容が今まで私が考えていた点とは違い、それなりに納得ができるものだった。そのてんに関しては後日別ブログでまとめてみる事にする。

 学生達は山頂をめざして進んで行き、私は1人で山小屋に入り囲炉裏に火を入れる。11時00分過ぎ頃にランチの準備をはじめる。今日は山小屋焼き芋はお休みなので、ランチは焼き芋ではなく久しぶりのメスティンを使った自動炊飯で同時にレトルトのブラックカレーをメスティンの蓋の上で温める。時間にして25分ほどで1合のお米が炊き上がる。

 そういえば8時10分頃にグループラインで山友のオッシーから「・・・山小屋に配達があるので行きます」というメッセージが入っており、その後も高瀬氏と途中で出会ったという事が入っていた。そして10時40分頃に、久しぶりのK氏から「久しぶりに来て見ました」というメッセージも入っていた。ここで一句考えたので紹介する。

 囲炉裏火に 煙立ち込め 陽が差して 今何処かな 山友達は

 常連の横山氏がみえてしばらく一緒に囲炉裏を囲み談笑、明日から定期テストがはじまるので、その準備のため今日は早めに下山すると山小屋を後にされる。

 オッシーと高瀬氏が到着、到着時間が遅いので話を聞くと、第二展望台で2人でゴム銃による的当てをやっていたらしく、オッシーのリックの中からオッシー手作りの的が出てくる。それは的が2カ所ありいずれかに当たると回転するようになっている。当たった時の音を響かせるためにあえて金属板のものが設置してある。

 オッシーから冷凍のライスバーガーを手渡され、囲炉裏火の中に入れる。若い女性が小屋に入ってきて奥のベンチに座りしばらく4人で談笑する。オッシーのライスバーガーを4人で分けていただく、とても美味しい。

 メスティンの炊飯が終わり、ご飯が炊きあがりブラックカレーをかけて、全部食べると必ず食べ過ぎとなってしまうので1/3ほどオッシーに食べていただく。

 出入口に久しぶりに会う山友の姿が現れる、おそらく山小屋で一緒になるのは数年ぶりとなるK氏で、一緒に常連の桜川さんも姿を現す。K氏と最後に会ったのは加江田渓谷の遊歩道で体力的になかなか山に登れないと話していた記憶がある。

 山小屋で 山友達と 囲炉裏端 戸口に立つ 懐かし姿

 K氏から久しぶりに「双石銘菓・上丸ポーロ」をいただく、このお菓子はK氏の実家がある鹿児島で作られているもので現在はK氏の弟さんがお店を引き継いでいる。口に含むと素朴な味が広がり以前は双石山登山の楽しみの一つであった。

 K氏から長女が昨年結婚し現在生まれた初孫と一緒に帰郷しているらしく、毎日孫の顔を見るのが楽しみとのこと、私にも3人の孫がいるがその思いは十分にわかる。

 その後で姿を見せたのが吉田氏で、久しぶりに大勢の山友達との囲炉裏談義となる。K氏久しぶりの登山で太ももに違和感があるらしく先に下山する事になり、久しぶりに揃ったメンバーと一緒に山小屋の看板の所で集合写真を撮る。

 今日の天気予報は17時頃に雨が降る予報となっているため、14時20分に囲炉裏の火を始末し、4人で下山開始する。途中で第二展望台に立ち寄り小休止、ここでもオッシーの魔法のリックからはお菓子が出てきて美味しくいただく。

 谷コースを選択して途中の小休止は岩の上四兄弟と小谷登山道分岐点、イワヤ神社を過ぎ自然林を抜けたあたりでポツポツと雨を感じる。分岐点での休憩はそこそこにして下山する。
 
 16時5分に登山口に下山、本日の無事なる山行と新たな出会いに感謝して山に一礼する。


小谷登山口前の駐車スペース
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小谷登山道分岐点
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小谷登山道分岐点から
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イワヤ神社から天狗岩へ
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天狗岩右側急登の上部
右側岩の隙間ルートの方が安全
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第二展望台から宮崎平野を撮る
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尾根筋登山道途中のレスキューポイント No5
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レスキューポイントNo5確認
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写真入り地図
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山小屋囲炉裏に火を入れる
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ランチはブラックカレー
メスティンで炊飯し蓋上でレトルトカレーを温める
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久しぶりにいただく双石山銘菓「上丸ボーロ」
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囲炉裏の火を始末
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▼ 下記はオッシーのスマホ撮影による ▼
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吉田氏・高瀬氏・川畑氏・柴・オッシー・桜川さん
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山小屋を下山スタート
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谷コース難所のロープカ所
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空池
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天狗岩西側急登を下る
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帰宅後に山中で読んだ短歌を見直したので下記に紹介する 


若杉の 木立の隙間 見る姿 西肩下がり 尾鈴の山は
若杉の 木立の隙(ひ)間に 見ゆるかな 西肩下がる 尾鈴の山は


 化石谷 囀り多し 岩の上 兆し見えたか 初春間近
化石眠る 谷に囀り 満ちわたる 岩の端(は)に見る 春の足音


尾根コース 汗を拭き取り 目の先に あるじ不在の カズオ岩あり
尾根コース 汗を拭えば 目の前に 主なきままの カズオ岩立つ


囲炉裏火に 煙立ち込め 陽が差して 今何処かな 山友達は
立ちこめる 煙に差したる ひと筋の 光のなかに 友を想えり


山小屋で 山友達と 囲炉裏端 戸口に立つ 懐かし姿
山小屋の 火の爆ぜる音 聞きおれば 戸口に立てり 懐かしき影


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by mutumi48 | 2026-02-18 18:02 | 双石山へ | Trackback | Comments(0)

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